ことの発端は先日、なろう原作の『私の推しは悪役令嬢』のコミカライズ版の単行本が地元の書店に入荷されたことだった。

自分はコミック百合姫を定期購読していて、コミカライズ版わたおしも読んでいたのだけど、コメディ寄りで百合としてもう一歩足りないという印象で、まぁ毎月読んでるしと、単行本を買うのは見送っていた。
しかし、事件が起こった。2021年3月号掲載、コミカライズ版わたおし第7話があまりにもよく、衝撃を受けたのだ。ここまでクセの強いキャラクターが織りなすハイテンションコメディなんだなぁと思っていたら、同性に対する恋愛観や、主人公レイの恋愛観が深堀りされ、一気に見方が変わったのだ。今までのコメディに見せかけた言動も、全て同性であるからこその諦観に根付いたものだということが示され、ただのコメディじゃない!?恋愛部分深いぞ!?と思わされ、この作品に注目することになったのだ。
というわけでこれは単行本を買わざるを得ない!となっていたのだが、手に入らず、百合姫のバックナンバーで息を繋ぐ生活を送っていたのだが、とうとう手に入り、読み返す中で、これは全部いくしかない!となった。

そうして熱が上がって百合姫のバックナンバーを読み返し、これは原作を読むしかない!となって原作を読み始めた。自分はKindle Unlimitedに加入していて、わたおしの文庫版が存在しているので、とりあえずこれから読み始めた。余談なんだけど、Kindle Unlimitedにある作品は読まれたページ数で作者に還元されるらしいので、Kindle Unlimitedでもいいからしっかり読むといいと思います。
というわけで、文庫3巻分、なろう版でいうと第1部と第2部の頭までを読んだんだけど、これがまぁ面白いの!学園コメディから、大きな事件へ発展していくなろう小説の肝を抑えていながらも、軸であるレイとクレア様の関係が深まっていくところはぶらさず、百合も話も面白い作品として完成されていた。この世界観で同性で結ばれるためにどういう展開にするのかなーなんて思っていたんだけど、ここまで思い切っていくとは。世界観がしっかりしていて、国や要人たちの立場や思惑もしっかりしていつつ、百合として上手く走り切った第1部は本当に圧巻の出来と言ってもいいでしょう。
そして第2部!ここからは途中なろう版に移行して最後まで読みました。ていうか、読み始めた時点では最終章更新中で、一番盛り上がってるところに参加できてよかったです。今日最終話更新だったしね!
ここからは正直賛否別れたかなと思ったり。個人的にはかなり好きなんだけど、百合を求めてた人はやっぱりちょっとあれ?と思ったんじゃないかな?子供ができたりだとか、世界の秘密だとか、なろう小説の基本を押さえつつも過去の恋愛観だとか、色んな恋愛観を深堀りして、濃厚な物語で楽しく、わくわく読めたんだけど、よくできた面白いファンタジー小説だなという印象。
ちなみにこの第2部の感想なんだけど、作者さんが最終話更新後に上げていたあとがきにもほぼそのまんまのことが書かれていて、うんうんと唸った。いわゆる少年漫画雑誌に載るような一般的なファンタジーが自然に男女の恋愛を入れるように、ここが自然に同性同士になった作品が増えたっていいんじゃないかって思うところもあって、作者さんも同じようなことを考えて書いていたんだって思うと、自分とは合っていて、楽しく読めたんだなと。
とはいえ!?やっぱり百合好きとして、百合がいいな!と思って百合雑誌から入ったので、百合部分ももっとプッシュしてほしかったな!?と思うことはあったり!?したので、こう番外編がちょちょーっと増えたりとか、クレア様視点とか、メイとアレアの外伝とか、期待したいな~?って思ってます。
作品は完結しちゃいましたが、コミカライズ含めて色々展開もありそうなので、これからも応援していく所存!とりあえずお疲れさまでした!